[學日語]「もしかしたら、愛よりも相性の方が大事なんじゃないかって。」
Love shuffle01
07: 35~
雷の爆音がする。
「キャーっ!」
悲鳴を上げ、思わず隣にいた啓を突き飛ばしてしまう愛瑠。
「・・ごめんなさい。私雷ほんっと弱くて。」
「普通、抱きつくんじゃない?突き飛ばさずに。」と啓。
「それはブリっ子な女の演技よ。今のがリアル。」
「これ、君のか?」
正人が指輪の箱を拾う。
「あ・・すみません。」
「結婚するんだ。」と正人。
「へー。おめでと。」と旺次郎。
「ね!彼女どんな人?馴れ初めは!?」と愛瑠。
「・・・」
「あ、別に、いいんだけどね。
ほら、こんな状況だからハッピーな話をね。」と愛瑠。
「うん。是非聞きたいね。」と正人。
「・・別にハッピーじゃない。」
「また!いいのよ、ノロけたって。」
「だからハッピーじゃないって!」
「あのね!照れ隠しもいいけど、そんなんじゃ相手の人に失礼でしょ!」
「でもさ、気持ちはわかる。結婚は人生の墓場とも言うしな。」と旺次郎。
「そういう風にスカす男、腹が立つ!」と愛瑠。
「あーそ。俺は腹が減ってきたよ。」と旺次郎。
「正確には、今朝まではハッピーだったかな。」
「何それ。どういうこと?」と愛瑠。
「どういうって・・俺は思わず言ったよ。
嘘だと言ってよ、」
「ジョー!」と愛瑠。
啓が頷く。
「まさか!君婚約解消されたの!?」と正人。
「もっとやわらか言い方ないもんなんですか?」
「ああ、ごめん・・」と正人。
「マジで!?」
「へー!ホントなの!?どうして!?」
旺次郎、愛瑠が話に食いつく。
「彼女は、ごめんなさいって繰り返すばかりだ。」
「・・・」
「ただの、マリッジブルーじゃないかな。」と正人。
「ブルーは青だから進めばいいでしょ!」と啓。
「わかった!
他に好きな男が出来た!」と旺次郎。
「芽衣はそんな子じゃない!とっても真面目なんだ。」
「女はわかんないよ。な!」
「私に振らないでよ!
まあ・・ちゃんとした子なら、ちゃんと考えた末の事かもね。」
「ちゃんと考えた末って・・俺の何が嫌になったっていうんだ・・。」
「こんなに美男子で、仕事も一流。
年収もいいから我々同様最上階のキーを持ってる。」と正人。
「やっぱ変体か!」と旺次郎。
「そうかも!」と愛瑠。
「恥ずかしいほどノーマルだ!」
「じゃあ中身がないんじゃない?
結婚となると外見だけじゃねー。」と愛瑠。
「失礼だろ!」
「みんなで考えてあげてるんでしょー!」
「面白がっているとしか思えないね。」
「そういう風に変に裏を読む性格が嫌なんじゃない!?」
「あのな!」
「何よ!」
「まーまー、ウサたんもアヒルちゃんも!ね!」
「どさくさでそういう呼び方やめてください!」と啓。
「ダメ?」
「ダメ!」
「ところで先生は?結婚してんの?」と旺次郎。
「いや、僕はまだ独身なんだ。」
「へー。お医者さんだしそれこそモテそうなのにね。」と愛瑠。
「そういうあんたはどうなんだよ。」と旺次郎。
「私のことは別にいいでしょ。」
「美人でスタイルもいい才女じゃ、それこそ引く手あまたでしょ。」と正人。
「・・ところがなかなかね。上手くいかないの。」
「中身がないんじゃん?」と啓。
「根に持つ人ね!それも原因じゃない?」
「君もね!」
「私は別にしつこくないわ。ダメならさよならって感じだし。」
「・・俺だって婚約してなきゃそうさ。
自分や、相手の親のことだって関係あるし。
式場とか・・この、指輪とか・・。」
「とにかく、みんなそうは上手くいってないってことだから、ね。」と正人。
「それ慰めてるつもりですか?」
「協調共感は患者との第一歩なんだ。」
「俺別に病んでないですから。」
「くよくよしたって仕方がない。気持ち離れちゃったもんはさ。」と旺次郎。
「他人事だから簡単に言えるんだ!」
「でもどうしてだろう。」と愛瑠。
「え?」
「好きだって気持ちって、何で増えたり離れたりしちゃうんだろうね。」
「僕に心理学的説明を求めてる?」と正人。
「ううん。でも、また誰かを好きになって、盛り上がって、
離れて薄れて。
結婚したって夫婦ってそうでしょう?」
「そういう生き物なのさ。人間なんて。
第一、愛なんて男と女で存在するのかね。
盛りが付いて惹き合って、飽きて終了、てなもんじゃないの?」と旺次郎。
「俺はそうは思わないな。
なかにはずっと幸せそうな夫婦もいるし。」と啓。
「僕は、こう思うんだ。」と正人。
「いいよ。専門家の能書きなんか聞きたくないって。」と旺次郎。
「もしかしたら、愛よりも相性の方が大事なんじゃないかって。」
「愛よりも、相性?」と啓。
「うん。愛は移ろいやすい。
それをとどめておく為には、二人の相性のよさが必要なんだ。
よく言う、価値観が同じとかそういう頭でっかちなことじゃなくてね。」
「プラス、体の相性もね。」と旺次郎。
「女性もいるんだよ。」と正人。
突然愛瑠が座り込む。
「どうした?」
「あ・・ううん。別に。」
「そういえば、顔色が悪いね。」と正人。
「そうかな・・。」
「もしかして、妊娠?」と啓。
「バカじゃないの!」
「心配してるんだろ。」
「面白がってるしか思えない!」
「ま、かれこれずいぶん閉じ込められているからな。
密室で、初対面の男三人に囲まれて。」と旺次郎。
「・・・」
「お腹痛いの?
あ、もしかしたら冷えたせいもあるかな。」
正人がジャケットを脱ごうとする。
「あ、ううん、そういうんじゃないから。」
「わかった!おしっこしたいんだ!」と啓。
「!!セクハラで訴えるわよ!」
「いやいや、ちょっと、俺もそうだからさ。」と啓。
「こう見えても私女子なのよ!」
「参ったね。
女性は男性よりも尿道が短いから尿意が我慢出来ない、」
正人が啓、旺次郎に説明し始める。
「大丈夫です!大丈夫!」
「医者は得だな。俺より露骨なこと言ってるのに。」と啓。
「あ、そうだ。
愛瑠ちゃん、紙コップあるよ。」と旺次郎。
「・・ここでしろって言うの!?死んだ方がマシよ!!」
「ジョークだよ。」
「全然笑えない・・」
「・・・」
「ちょ、ちょっと、黙らないでよ。よけいあれだからさ。」
「・・・」
「歌でも歌うか。」と旺次郎。
「紙コップ貸して!俺も限界だ!ここでするよ。」と啓。
「冗談でしょ!?」と愛瑠。
「みんなで、背中向けてすればいい。
音が聞こえないように、歌歌いながら。」と啓。
「連れションか。いいね、付き合うぜ。」と旺次郎。
「何言ってんのよ、頭おかしいんじゃないの!?」
「先生も。」旺次郎が紙コップを差し出す。
「僕は勘弁してくれないか?」
「いやいや。」
「こう見えて人一倍羞恥心が強いんだ。」
「協調、共感が大事ですよね、菊リン。」と啓。
「ウサたん・・」
「どうでもいいからさ、さっさとやっちまおう。」
旺次郎は愛瑠にも紙コップを渡す。
「ウソでしょう。私こんなこと・・」
「出産の時に恥ずかしいって言ってられないだろ。」
「だから私妊娠してないし・・。」
エレベーターの隅に行き背中を向ける正人。
「俺自分慰めて歌う。
You are the dancing queen♪」
「いいね!」
「young and sweet, only seventeen♪」
旺次郎は楽しそうに、正人は仕方なく、歌いながら背中を向ける。
「みんなどうかしてるわよー。
音はいいけど匂いはどうすんのよー。
・・・お母さん・・ごめん!」
愛瑠が諦めてしゃがみ込んだ時、エレベーターの照明が付く。
街の灯も戻った。
「動いた!」
ほっとしてお互いを見渡す4人。
「開いてる!」愛瑠が正人、旺次郎のパンツを指差す。
大笑いする4人。
「カンパイ!」
空のコップで4人は乾杯し、コップをトスした。


